アマツツミ 【犠牲は、幸か不幸か】

こんにちは~。
1年近くやってなかったね。正直辞めようかと思ってました。

さて、今回ご紹介するのは

アマツツミ

です。

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ではあらすじ紹介。

あるところに、「言霊」という力を持つ一族がいた。
 相手に言葉を聞かせることで、相手がその言葉通りにするというもの。
 例えば、跪け、とか言うと体が勝手に跪いてしまう! そんな感じ。
 その言霊の力を持った一人の青年が、ある田舎町にやってくる。
 言霊を使うものと、普通の人間が相容れることは許されていない。
 一体全体どうなっちゃうの~?

という感じです。いよいよ文章書く気力もなくなってきた。

ヒロインは

織部こころ  喫茶店の娘、しかしメシマズ
・朝比奈響子  霊能力者
・恋塚愛    言霊使い。許婚
水無月ほたる 言霊が利かない

の4人です。

前置きは無しです、皆さん公式サイトはご確認くださいましたでしょうか。

織部こころ
・朝比奈響子
・恋塚愛

この3人は
前座です。お遊び。お戯れ。

普通エロゲの公式サイトの一面を飾るのは、
ヒロイン全員が仲良く写っているもののはずです。

ですがアマツツミは
ヒロインが一人だけ!

そのたった一人のヒロインというのが……この
水無月ほたる
ちゃんです。

いや、私の場合は恋塚愛ちゃんが好きなんですよ、大人っぽい女性がね。
本当は織部あずきっていうこころのお母さんなんだけど、それはいいや。
ただ、このゲームはそういうのじゃない

もちろん女の子はみーんなかわいい。
しかし、このゲームは水無月ほたる」ちゃんのためだけに作られたゲームです。
他のキャラはほたるちゃんを引き立たせることに重きを置いております。

例え私が声を大にして「恋塚愛ちゃんが好きなんだ!」といっても
「ほーん、でもこのゲームはほたるちゃんのシナリオだから」で一蹴されます。

他のキャラのルートは無いのか? と聞かれれば、もちろんあります。
ただもう間違いなく「おまけ」程度。こんなのあったらいいね、ぐらい。

確実に自分たちが「あぁ、水無月ほたるちゃんルートを辿っているんだな」というのが分かります。
……というのもこのアマツツミ、昨今のエロゲのように

かわいい女の子4人いるけど、誰にする?

とプレイヤーに4人から選ばせるのではなく、

この女の子にする? じゃあ次の子は? じゃあその次は?

という感じで、女の子それぞれのシナリオが順番に回ってきます。

プライマルハーツというエロゲがありまして、
そのゲームは共通ルートまでは女の子のシナリオが順番に展開されていき、
最後にどの女の子とHする?というように選ぶことが可能です。

しかしアマツツミは
順不同で女の子とHをして、その女の子のシナリオ中にその子のルートに入るかを選ぶ
という形になっております。デパートの試食かな?

アマツツミの主人公(というかヒロインの何人か)は貞操観念が崩壊しており、
「妹だけどまぁHするか」
「お礼にHしてくれ」
「浮気するな。Hしろ」
みたいなことが結構ある。
みんなはその主人公を見て「まぁ女たらしだし……」と納得する。寛容!

Hしていく中で……ではなく、シナリオを進めていく中で、
ほたるちゃんという子に、皆様確実に違和感を抱きます。

あれ、この子はどうして、何かがおかしいぞ?
これは伏線なのか、この子の謎が知りたい、これは一体?
しかしほたるちゃんの順番が回ってくるのは……さぁ、何番目でしょう?

気づけば皆様、既にそのほたるちゃんの「謎」という魅力に、片足のみならず肩までどっぷりはまっております。
残るはもう、この子のエンディングを見て、大いに悲涙するもよし、声にならぬ声を上げるもよし。

アマツツミーーある一人の少女のために作られた、美しくも悲しいお話でございます。


では、次はテーマについて……私個人の感想です。
ネタバレになると思うので、知ってる人にしか知らないように書きますね。

なんといってもこのゲームのテーマは「犠牲」です。
主人公は自分を犠牲にしてでもこころのお母さんを助けようとした。結果両方助かったんですが。
響子は自分を犠牲にしてでも、死んだ鈴香を助けようとした。鈴香は遠慮して、元ある場所に帰りました。
愛は自分を犠牲にしてでも主人公を自分のものと証明したかった。愛の呪いは解け、仲直りできました。
最後、主人公は自分を犠牲にして、ほたるに命を与えました。
しかし本当の本当は、自分の力である言霊を犠牲にして、ほたるを元の姿に戻しました。
ちょっと違くね? と思われる箇所があるかもしれませんが、ざっくりですよ、ざっくり。

このように、色々な人が色々な人のために「犠牲」になろうとするんです。
人間は、誰かのためなら自分の命を軽んじるんです。
良い人間は早く死ぬ、その言葉を思い出します。
さて、ほとんどの犠牲は結果オーライで、皆がハッピーエンドのまま終わりを迎えています。
この中で唯一命を落としたときの「犠牲」……ほたるちゃんのための、主人公の「犠牲」です。
自分を犠牲にしてでも救う! という強い意志、そして行動力は、不可能を可能にしてしまうほどの奇跡、閃き、ミラクルを起こします。
そしてその結果、本来どちらか一方が不幸になるはずだったのが、その行動力が奇跡を起こして、両方幸せになれた。
不幸が起きるというリスクを背負ってでも、行動することで幸が訪れるかもしれない。
そんなことを教えてくれた、だけじゃない

見ましたか? 主人公が消えてしまったときのヒロインの顔を。
主人公がいなくなった町を、家族を。
誰一人として、心から笑っている人はいましたか?

自分が死んででも救えた、だからきっと、残りの人は幸せになるはずだ。

自己満足もいいところだ。

笑えるか。大好きだったあの人がいない世界で、笑えるか。
確かに、彼女は、水無月ほたるは。
必ず、また笑えるようになるから。そう言いました。
例え笑えるようになったとしても、永遠に、死ぬまで刻まれてしまうんですよ。
地獄と一緒でしょう。死ぬことも出来ず、何度もあの日を思い出し、苦悩する。

主人公は……きっと僅かながら悪でした。

自分が残された世界にほたるはいない。
そんな世界で生きるなんて、とても耐えられない。
だから自分が死ねば、苦しむことはない。

彼女を救おうとした理由に、それは「おまけで」あったんでしょうね。

彼女に生きて欲しい、ただそれだけを考えた。
それより先を考えれば、きっと壊れてしまうから、耐えられないから。

いやいや、そんなことはないんでしょう。
主人公、誠くんは、後先考えず、自分が今出来ることを全力でやるだけのバカ野郎だったんです。
バカも大馬鹿、大バカ野郎。

だから、考えずに済んだ。行動できた。
それが残されたものの不幸になるとも知らずに。




あなたのその「犠牲」は、果たして本当に正しいのか?



アマツツミは、そんなことを教えてくれる、素晴らしいゲームでした。